気候変動のダイナミクスにおける驚くべき要素は、ヒアリと炭素循環の相互作用である。大規模なトンネル網と有機物の処理によって、ヒアリは土壌の炭素蓄積に大きな影響を与える。最近の研究によると、ヒアリのコロニーが多く生息している場所では、土壌の炭素含有量を最大35％変化させ、温室効果ガスを保持する土壌の能力に影響を及ぼすという。ヒアリの継続的なトンネル掘削と巣作りは、有機物の分解を早めるため、自然のプロセスよりも速い速度で、蓄積された炭素を大気中に放出する。ヒアリの大集団は、年間1ヘクタールあたり何トンもの土壌を処理できると科学者たちは推定しており、そのため地域の炭素循環に影響を与えている。さらに、ヒアリの存在は、炭素貯留に非常に重要な土壌微生物の個体数や植物の根系にも影響を与えている。炭素循環動態とヒアリとの間のこの驚くべき関連性は、気候変動のメカニズムにおける、これまで気づかれていなかったフィードバック・ループを示唆している。
